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  ◆連載:パティシエールのキッチンから....
         第六回:「世界の国のクリスマスケーキ」
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 第六回目となる連載「パティシエールのキッチンから....」。
 今回はキッチンから一歩出て、パティシエールとして知ってお
 きたい、世界の伝統的なクリスマスケーキをご紹介します。

 --● 第六回:「世界の国のクリスマスケーキ」 ●----------
 季節イベントとして日本でもしっかり定着しているクリスマス。
 とは言え、日本でのクリスマスの歴史はそれほど長くないので、
 クリスマスケーキの決まりごとも、特にこれといって存在する
 わけではありません。

 ですが、歴史と共にクリスマスを祝って来た西欧各国では事情
 が全く違います。それぞれの国で、古い伝統を受け継いだ独自
 のクリスマスケーキが存在し、今でも昔と変わらずにクリスマ
 スの食卓を飾り続けているようです。

 そこで今回は、そんな世界各国のクリスマスケーキの中から、
 それぞれの国で広く食べられていて、なおかつ長い歴史のある
 ケーキをピックアップしてみました。


 ---■ ブッシュ・ド・ノエル (フランス) ■---------------
  ご存知、薪の形をモチーフにした、フランスのクリスマスケ
 ーキ。最近では大胆なアレンジが加わったタイプもたくさん登
 場していますが、基本形は、ロールケーキの表面にチョコレー
 トクリームを塗って、クリーム面にフォークなどで木肌のよう
 な筋を付けるタイプ。カットしたロールケーキの断面を、薪の
 年輪に見立てることもあります。
 19世紀の製菓職人のピエール・ラカンが、当時ヨーロッパに存
 在した、クリスマスに薪を燃やす習慣にヒントを得て、考案し
 たケーキであると言われています。

 ---■ シュトーレン (ドイツ) ■-------------------------
  ドイツ東部ドレスデンで誕生したケーキ。イースト発酵させ
 たバターたっぷりのパン生地に、お酒に長く漬け込んだドライ
 フルーツやナッツ、スパイスを練り込んで焼き上げ、上から粉
 砂糖をふりかけます。日が経つほどに粉砂糖が溶けて、お酒が
 生地に浸透するので、風味がどんどん変わっていくのが特徴。
 変わる風味を楽しむために、クリスマスより一ヶ月ほど前から
 用意して、時間をかけて食べて行きます。
 だ円の変わった形の由来は諸説あり、キリスト生誕時の“むつ
 き”や“飼葉おけ”をかたどっていると言われています。

 ---■ ヘクセンハウス (ドイツ) ■-----------------------
  こちらもドイツ生まれのお菓子の家。はちみつやスパイスの
 入った『レープクーヘン』というドイツではおなじみのクッキ
 ーを型紙に合わせてカットしたものをベースに、マジパンやキ
 ャンディー、チョコレートなども駆使して、家の形に組み立て
 て行きます。味もさることながら、目で見て楽しめるケーキな
 ので、クリスマスの時期には、ケーキ屋さんのショーウィンド
 ウを飾ることも多いです。
 「ヘクセンハウス」はドイツ語で“魔女の家”という意味。
 グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』に登場する、魔女のお菓
 子の家がその由来であると考えられています。

 ---■ パネトーネ (イタリア) ■-------------------------
  イタリア・ミラノが発祥のクリスマスケーキです。
 パネトーネ種という北イタリア独自のイーストを加えた強力粉
 の生地を、じっくりと発酵させて、バターと卵黄、ラム酒漬け
 のレーズンやレモンピールを混ぜ込んで、ドーム型に焼きます。
 気泡が大きくふんわりとした食感と、酵母の香り高さが特徴。
 ケーキというよりはパンに近い風合いで、実際に日常のパンに
 も、パネトーネ種を使ったパンは好んで食べられています。
 パネトーネ種の特徴で、特にお酒や砂糖を多く使わなくても、
 非常に長く日持ちがします。

 ---■ パンドーロ (イタリア) ■-------------------------
  イタリア・ヴェローナが発祥のクリスマスケーキで、イタリ
 アではパネトーネと並んで人気のケーキ。材料はパネトーネに
 近いですが、ドライフルーツを入れず、発酵の度合いを低めに
 しているのが特徴。生地の風合いもパンと言うよりケーキに近
 いものになっています。
 三角錐のような形に焼き、シンプルに粉砂糖だけを振って食べ
 るのがオーソドックスな食べ方。その後はトーストしたりお酒
 にひたしたり、古くなればトライフルのようにして味わったり、
 主食としてもスイーツとしても楽しめます。

 ---■ ミンスミートパイ (イギリス) ■-------------------
  “ミンスミート”とはりんご、プラム、オレンジ、レーズン
 などの各種フルーツとドライフルーツにナッツを合わせ、そこ
 へ牛の腎臓のまわりについた「ケンネ脂(牛脂)」と呼ばれる
 脂肪分を加えて、数ヶ月間ブランデーに漬け込んで作る保存食。
 「ミート」という名称は、その昔には脂肪分だけでなく肉も入
 れて作っていたことが、名残りとして残ったもののようです。
 イギリスでは家庭ごとにオリジナルのレシピがあり、中には材
 料にも自分の家で収穫したものを用意する家庭もあるのだとか。
 これをパイ生地にぎっしりと詰め込んで焼いたものがミンスミ
 ートパイです。

 ---■ クリスマスプティング (イギリス) ■---------------
  プティングと言っても、日本で知られるプティング(プリン)
 とは全く別物。上の「ミンスミートパイ」で使う“ミンスミー
 ト”を、小麦粉などを使った生地にたっぷりと混ぜ込んで型に
 詰め込み、一日かけて蒸し上げて作るケーキです。
 クリスマスのディナーが済んだ後、一度火を通し直してアツア
 ツの状態にしたプティングにブランデーをかけ、テーブルの上
 でフランベ(火をつけること)します。食感としてはパウンド
 ケーキに近く、ミンスミートのレシピによって差はありますが、
 かなりお酒の風味が強くなっています。
 家族で切り分けて、食べる時にはアングレーズソース(カスタ
 ードソース)や生クリーム、お酒を添えることも。

 ---■ ボーロ・レイ (ポルトガル) ■---------------------
  「ボーロ」は“ケーキ”で「レイ」は“王様”の意味。ドラ
 イフルーツと木の実をたっぷり入れた発酵生地をリング状に焼
 き上げるパン生地タイプのケーキです。焼き上がった後も表面
 にドライフルーツをちりばめて、溶かしたゼリーで薄くコーテ
 ィングし、さらにその上から粉砂糖を振ります。見た目がきら
 きらと輝き、粉砂糖が雪のようで、とてもきれいなケーキです。
 焼く前にケーキの中に乾燥そら豆と小さなお人形を入れておき、
 切り分けたケーキに人形が入っていた人は『王様』に、乾燥そ
 ら豆に当たった人は翌年にボーロ・レイをみんなにごちそうす
 る役割を負わされることになるのだとか。

 ---■ クランセカーケ (ノルウェー) ■-------------------
  「クランセ」は“輪”。「カーケ」は“ケーキ”で、その名
 の通り、輪の形をしたケーキを積み上げて作ったケーキです。
 アーモンドプードルと砂糖、卵白をたっぷりと使った、クッキ
 ーに近い生地を、少しずつサイズの違う輪の形に絞り出して焼
 き、大きいものから小さいものへと、下から順番に積み重ねて
 行きます。18枚重ねるのが通例で、全部で18枚焼くための専用
 の型もあります。
 クリスマスに限らず、お祝いごとには良く登場するケーキ。
 クリスマスの時にはアイシングや生クリームでデコレーション
 したり、クリスマスの飾りを添えたりして、クリスマスらしさ
 を演出します。

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  意外なことに、“ケーキ”という形ではクリスマスのスイー
 ツを用意しない、という国や地域も多いようです。
 そういった国でよく登場するのが、ジンジャーを効かせたクッ
 キーです。ベルギーの「スペキュローズ」、イギリスの「ジン
 ジャーブレッドマンクッキー」のほか、北欧諸国でもジンジャ
 ークッキーがクリスマススイーツの主役となっています。

 日本を見てみると、「苺のショートケーキ」が、クリスマスケ
 ーキとして特に人気が高いようです。
 良く言われていることでもありますが、「苺のショートケーキ」
 とは、実は日本独自のケーキでもあります。
 いつか日本のクリスマスの「苺のショートケーキ」が、世界の
 クリスマスケーキの一つとして、紹介される日が来るのかも知
 れませんね。
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